つれつれ大学生

もう大学生、まだ大学生。大したことは書きません。

やさぐれ大学生の酒の肴

おはようこんにちはこんばんはつれつれ大学生です。

 

唐突だが今、私は読了した小説に思いを馳せながら辛ラーメンを啜りストロングゼロレモン味で辛味を流している。


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それは読んだティーンズにも大人にも人気、感動モノとされる小説のあまりのリアリティのなさに転生モノなろう小説か??と興ざめし突っ込みたい気持ちを抑えたいからかもしれない。

現実として前世でとある罪を犯し命を絶たれた少年が輪廻転生の軌道にまた乗れるように新たな命をまっとうするように何らかの存在に命じられるーこの小説はある意味で転生モノである。だからイマジナリーな世界も許されるのかもしれない。

ただイマジナリーな世界の中、ストーリー上リアリティを持たせなければならない残酷で惨めな転生先の世界であまりにもご都合主義すぎたその美術部の空間は学生期間の短くはない期間を美術部員として過ごした私にはあまりも不釣り合いであまりにも美化したものに見えた。(この時点で私の指す作品に気がつく人ももしかしたらいるかもしれない。あくまで個人の一意見である。あしからず。)

 

美術部員にありがちな実力が追いつかず自己尊重ばかりが走るあまりに気持ち悪い自己完結の傷つくことを恐れる内面の世界に惚れて、かつその自惚れたカッコ悪い自分をも認めてくれ、なおも自分に恋愛的思慕を抱いてくれる同期がいる美術部が日本にいくらあるだろうか?惨めな彼とその周りの世界が「特殊な」美術部のアトモスフィアを軸に描かれること、それに100万人ものの読者が付随することにただ戦いてしまった。あとから自覚した彼の罪もまあ、そうだろうに収まってしまった。全てがご都合主義。

仮初の姿を駆使して何も知らない連中に「美術部っておかしいよね」など言われる中、軽い笑いでクラスを駆け抜けて、いくら心情に訴えても分厚い手紙の一枚もくれずアルコールの一滴で狂う親を見てこんな小説に説得力なんてあるわけがない。全てが架空の何かだ。最初からファンタジーであれば頭がスイッチする。しかし妙なリアリティとリアリティのなさが実体験を混じえて馬鹿らしく思えた。

 

元々イマジナリーなものである小説に無意味な憤りを爽快なプルタブの開く音とあまりに構えることなく喉を嚥下するストロングゼロに委託する。

ストロングゼロは不味いと常日頃から力説する。しかし酔いが回ってからは寧ろ高い酒を味わうことが馬鹿らしくなる。故に四杯目あたりからは酔いを維持するためにストロングゼロを好んで胃腸に届ける。もはや味覚は生きていない。

 

卵黄のつけ汁(辛ラーメンは卵黄をすき焼きのようにつけ汁にするとコクも感じてさらに旨い)にたっぷりと食べこだえのある麺をひたし、もし私がバスケットボール部員でもあればこの小説の訴えかける倫理的命題に心をうたれるのかもしれないとふと思った。

 

しかしその思いは間違えて噛んだ唐辛子の破片に打ち消された。